地域パートナーシップ支援センターには、東京都大田区の環境学習支援事業に携わっていたメンバーが多く在籍しています。彼らは、小学校の環境学習のお手伝いのために、いろいろなフィールドに出かけていました。多摩川の干潟もフィールドのひとつとして、1年に何回か足をはこんでいました。

 驚くほどたくさんのカニたち、悠々と飛び交う鳥たち、泥まみれになりながら喜々としている子どもたち。メンバーはいつしか干潟の大ファンになっていました。「もっと干潟のことを知りたい」「子どもだけでなく、大人にも干潟のことを知ってもらいたい」そんな思いが次第に高まっていきました。

 そこで、誰もが自由に参加できる活動を干潟で行おうと、月1回のペースで活動していくことになりました。こうして、平成17年4月に『多摩川干潟プロジェクト』がスタートしました。






  プロジェクトの目的は、ひとりでも多くの人に干潟を体験してもらうことです。  多摩川のすぐそばに住んでいても、堤防のすぐ向こうに干潟が広がっていることを知っている人は多くありません。まして、そこがカニたちが暮らし、鳥たちが羽を休める“楽園”であるということを知りません。

 干潟は、川と海が出会うあたりにできます。そして、「自然の下水処理場」とも言うべき、優れた水の浄化作用を持っています。街中を流れてきた川はここできれいな水となり海に流れ出ていくのです。同時にそこは、多様な生物の生息地にもなっています。しかしながら、特定の条件の場所にしかできない干潟は、一度消滅するとなかなか回復させることができません。

 干潟を歩く、生き物を観察する、ゴミを拾うなど、さまざまな干潟での体験活動をつうじて、干潟という貴重な存在を理解してもらいたい。そのことによって、ぜひ次世代に残していきたいと考えています。



 プロジェクトの特徴のひとつは、いろいろな人が干潟に集まり、共通 の話題のもと相互に交流し合いながら、活動が広がっていくところです。

 たとえば、小学生にとっては学習の場、親子にとってはコミュニケーションの場、指導者にとっては研修の場、企業にとっては社会貢献の場になります。いわばサロンのような場として、活用していきたいと考えています。一つの団体だけでなく、さまざまな人々、組織と連携を図りながら環境の保全や環境意識の普及啓発に努めていきます。

 もうひとつの特徴は、五感と身体感覚を呼び起こすということです。やわらかい泥の中を素足で歩く、強い日差しに目を細める、日常生活のなかでは忘れがちな感覚を使う。そんな体験をつうじて、生き物の命や自然を大切にする心を育んでいきたいと考えています。